教育資金は預金×全世界株式の両軸設計が最適

子どもの大学費用、どう準備していますか? しばらく”とりあえず貯金”で乗り切ろうとしている方も多いと思います。でも、ふと気づくことがあります。17〜18年という時間があるのに、全部を預金にしておくのは機会損失かもしれない、と。かといって全部を投資に回すのも怖い。入学直前に相場が暴落したら——そう考えると手が止まってしまいます。

この記事では、「預金と全世界株式インデックスの両軸」という設計の考え方をお伝えします。ポイントは3つです。

  • 教育費は「いつ・いくら必要か」がある程度見通せる、数少ない目的別支出であること
  • だからこそ「預金×全世界株式インデックス」の両軸設計が有効であること
  • 相場が悪い年には預金から取り崩し、好調な年に投資分を現金化する「出口の柔軟性」という考え方

「元本割れが怖くて投資に踏み出せない」という方にこそ、読んでほしい内容です。

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目次

教育費は「いつ・いくら」がある程度読める、特殊な支出

教育費の主な支出タイミングと金額感(一般的な目安)

まず前提として、教育費は家計の中でも「支出タイミングがある程度予測できる」特殊な支出です。大きな山となるのは主に3つのフェーズです。

  • 高校入学時:制服・教材・授業料など初期費用がまとめてかかる
  • 大学入学時:受験費用・入学金・前期学費・一人暮らし初期費用などが集中する
  • 大学在学中:年間の授業料・生活費などが継続的にかかる

文部科学省が公表している調査によると、国公立大学と私立大学では授業料に大きな差があります。さらに理系・文系・医歯薬系によっても金額は異なります。「わが家の場合はいくら必要か」を正確に把握するには、子どもの志望する進路や居住状況(自宅通学か下宿か)などを踏まえて個別に試算することが重要です。

ここでは具体的な金額を「これが正解」と断言することはしません。目安として把握しておくことが大切であり、詳細は文部科学省の公式データや、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に確認されることをおすすめします。

老後資金と何が違うのか——「締め切りがある資金」の特性

老後資金と教育資金、この2つはよく「長期で準備すべきお金」として並べて語られますが、性質が大きく異なります。

老後資金は、何歳まで生きるかが不確定で、長期間にわたって少しずつ取り崩していく資金です。一方、教育資金には「子どもが18歳になるとき」という明確な締め切りがあります。

この「締め切り」こそが、教育資金の準備を設計しやすくする最大の特徴です。いつ・いくら必要かがある程度わかっているなら、逆算して「出口戦略」を事前に組み立てることができます。これが、次に説明する「両軸設計」の根拠になります。

なぜ「預金だけ」でも「投資だけ」でも不安が残るのか

預金だけだと感じる「もったいない感」の正体

子どもが生まれてから大学入学まで、17〜18年という時間があります。この長い期間を、すべて低金利の預金に置き続けることには、一定のコスト感があります。

特に近年のようにインフレが続く局面では、預金の名目金額は変わらなくても、実質的な購買力は目減りしていく可能性があります。つまり、「お金は減っていないのに、買えるものが減っている」という状況です。

もちろん、預金の強みは否定できません。元本が保証されており、必要なときに確実に使えるという安心感は、他の手段では代替できないものです。ただ、17〜18年という時間をすべて預金に費やすのは、機会損失という観点で考えさせられる選択でもあります。

投資だけだと怖い「暴落のタイミング問題」

では、教育資金をすべて投資に回せばいいのか——そうも言い切れません。

株式投資は、長期的には上昇傾向があるとされていますが、10〜20年のスパンでも一時的に大きく下落することがあります。過去には数年にわたって株価が低迷した局面も存在します。

「子どもが18歳になる年が、たまたま大きな暴落の年だった」——このシナリオは、完全に排除できません。そのとき、教育資金のすべてを投資に頼っていたら、必要な金額を用意できない事態が生じる可能性があります。

投資には元本割れリスクがあります。これは投資を検討するすべての方が認識しておかなければならない前提です。全額を投資に回すことで「必要なときに使えない」状況が生まれ得ることを、設計段階で考慮しておく必要があります。

暴落への向き合い方については、こちらの記事も参考にしてください。

🔗 【結論あり】投資の暴落が怖い人がやるべきこと3つ|初心者向けに解説

「預金×全世界株式インデックス」両軸設計の考え方

設計の基本ロジック——「安全弁」と「増やす資産」を分ける

「預金だけでは不安・投資だけでも不安」という状況の解決策が、預金と投資を明確な役割分担で持つ「両軸設計」です。

考え方はシンプルです。

  • 預金:必ず使う分・万一のときの安全弁。元本が確保されており、相場に関係なく使える資金
  • 全世界株式インデックス:時間を味方につけて増やしにいく部分。リスクを取りながら、長期で資産成長を期待する資金

両方を持つことで、「どちらの相場環境でも対応できる出口」を用意できます。これが両軸設計の本質です。

比率の考え方——子どもの年齢と残り時間から逆算する

預金と投資の比率は、子どもの年齢(=大学入学までの残り年数)を基準に考えるのが自然です。

  • 残り年数が長い(子どもが低年齢):投資比率を高めに設定できる。時間があるため、暴落しても回復を待つ余裕がある
  • 残り年数が短い(中学生以降):安全資産(預金)の比率を徐々に高めていく。使う時期が近い分、リスクを下げていく

これは「グライドパス」と呼ばれる考え方に近い発想です。年齢が上がるにつれて、リスク資産から安全資産へと比重を移していくイメージです。

ただし、具体的な比率は個人の状況・リスク許容度・家庭の収支によって大きく異なります。この記事で示している内容はあくまで考え方の例示であり、実際の設計には個人の判断や、必要に応じて専門家への相談をおすすめします。

運用の手段——今から使える現実的な選択肢

両軸設計を実行するにあたって、現実的な手段を整理しておきます。

親名義の新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)が現実的な中心手段です。年間最大360万円、生涯投資上限1,800万円、非課税期間は無期限という制度です。教育資金専用の制度ではありませんが、目的別に柔軟に活用できます。

特定口座での積立は、新NISAの枠を超えた部分や、補完的な手段として検討できます。

預金口座は安全弁の部分として、高金利の定期預金や普通預金に分けて管理するのが基本です。

⚠️ ジュニアNISAについて(注記):ジュニアNISAは2023年末で新規買付が終了しています。現在は新規利用できません。これから教育資金の投資手段を検討される方には、該当しない手段です。

新NISAの全体像や戦略については、以下の記事で詳しく解説しています。

🔗 新NISAの最適戦略|30〜40代会社員がやるべき投資の考え方

🔗 新NISAは何を買うべき?初心者向けにオルカン・S&P500の選び方を解説

全世界株式インデックスを選ぶ理由

投資部分の運用対象として全世界株式インデックスが挙げられるのには、理由があります。

まず、一つの国や地域への集中リスクを分散できます。世界中の株式市場に広く分散投資することで、特定の国の経済動向に大きく左右されるリスクを抑えられます。

次に、長期の積立投資との相性が良い点があります。毎月一定額を積み立てることで、価格が高いときには少なく・低いときには多く買うことができ、取得単価を平準化する効果が期待できます。

ただし、全世界株式インデックスへの投資だからといって、元本割れリスクがなくなるわけではありません。市場全体が下落する局面では、全世界株式も当然影響を受けます。「分散されているから安全」という誤解は持たないようにしてください。

全世界株式インデックスの特性やS&P500との比較については以下で詳しく解説しています。

🔗 オルカンだけでいいのか?新NISA初心者向けに判断基準を解説

🔗 S&P500とオルカンどっち?初心者はどちらを選ぶべきか違いと判断基準を比較

「出口の柔軟性」——これが両軸設計の本質

子どもが18歳になる年に「暴落」していたら?

両軸設計が力を発揮するのは、まさに「出口」のタイミングです。子どもが18歳になった年の相場状況によって、以下の2つのシナリオが想定されます。

シナリオA:相場が低調だった場合
預金から取り崩して大学費用に充てます。投資部分はそのまま保有し、相場の回復を待つ余裕が生まれます。「今売らなければならない」という状況を避けられるのが最大のメリットです。

シナリオB:相場が好調だった場合
前倒しで投資分を現金化して費用に充てることができます。あるいは、利益確定のタイミングとして計画的に売却することもできます。

どちらのシナリオにも対応できる——これが「両軸を持つ」ということの実質的な意味です。預金があるから、投資分を急いで売る必要がない。この「選択肢を持てること」が、両軸設計の核心です。

高校・大学入学の2〜3年前から「安全側」にシフトする

使う時期が近づいてきたら、投資分の一部を徐々に売却して預金に移していく準備を始めることが重要です。

「必要になったとき全部まとめて売る」という方法は、タイミングが集中するリスクがあります。売却のタイミングがたまたま相場の底であれば、大きな損を確定させてしまう可能性があります。

それを避けるために、1〜2年かけて段階的に現金化していくイメージで動くことが有効です。入学の2〜3年前から少しずつ売却し、必要額の一定割合を預金で確保していく——このプロセス自体も、リスク分散の一つの形です。

出口設計は「感情で動かない」ために事前に決めておく

相場が大きく動いたとき、人は感情的になりやすいものです。暴落時には「全部売ってしまいたい」と思い、急騰時には「もう少し持ち続けたい」と欲が出る。これが投資における最大の落とし穴です。

そこで大切なのが、出口ルールを事前に決めておくことです。

  • 「子どもが中学に入るタイミングで投資比率を見直す」
  • 「入学2年前には必要額の一定割合を預金で確保しておく」
  • 「相場が低調なら預金から出す・好調なら投資分を優先的に現金化する」

こうしたルールをあらかじめ決めておくことで、暴落時に「どうしよう」と迷わずに行動できます。感情ではなく、設計に従って動けることが、長期の資産形成では非常に重要です。

繰り返しになりますが、具体的な数値や比率は個人の状況・リスク許容度によって異なります。この記事の内容はあくまで考え方の例示であり、実際の投資判断は個人の責任で行ってください。

🔗 積立投資はやめたほうがいい?そう言われる理由と正しい判断

筆者の実際の設計と現在地

我が家の両軸設計の考え方

【筆者の経験】

私は、子どものために専用の銀行口座と証券口座を新たに開設し、教育資金を家計とは切り離して独立で確保することにしました。ジュニアNISA(当時はギリギリ使えた)は2年分の枠を満額で使い切り、児童手当には手をつけず、すべて子ども名義の口座に回しています。設計の軸は、安定資産である預金と、リスク資産である全世界株式の両輪です。教育費は「いつ・どれくらい必要か」がある程度読める支出ですが、そのタイミングで相場が必ず良いとは限りません。暴落しているかもしれない。だから、必要になったときに株価が低ければ預金から取り崩し、逆に株式が好調なタイミングがあれば前もって現金化しておく——そうやって複数の選択肢を持てるように組んでいます。

教育資金の管理方法に「唯一の正解」はありません。ただ、家計から切り離して管理することで、教育費の積み上がりが見えやすくなる・使い込みを防げるというメリットがあります。自分にとってわかりやすく、継続できる仕組みを作ることが最優先です。

両軸設計を続けて感じていること

両軸設計を組んでいる人が共通して感じることとして、「預金があることが精神的な安定につながる」という点があります。

投資部分の評価額が下がる局面でも、「必ず使える預金がある」という事実があれば、焦って売却するという判断を避けやすくなります。投資を「増えたらラッキー・下がっても困らない分だけ」という範囲に設定することで、相場の上下に感情を揺さぶられにくくなるのです。

これは精神論ではなく、設計の問題です。「困らない範囲だけ投資に回す」という原則を守ることが、長期で積立を続けられる最大の理由になります。

子育て世帯の投資金額の考え方については、以下の記事もあわせてご覧ください。

🔗 子供がいる家庭の投資額はいくらが正解?30代の現実的な目安

🔗 住宅ローンがあってもNISAで投資を続けた理由【繰り上げ返済より投資を選んだ実体験】

元本割れが怖い人へ——「怖さ」の正体と向き合い方

「元本割れが怖い」は正しい感覚

教育費は、絶対に必要なお金です。子どもの進学を支えるために積み上げてきたお金が、相場の影響で減るかもしれない——そう感じる怖さは、まったく正しい感覚です。

投資の記事の中には、「長期投資なら大丈夫」「暴落は一時的なもの」という楽観的な論調のものも多くあります。しかし、投資には元本割れリスクがあります。過去のデータが未来を保証するわけではなく、必要なタイミングで資産が減っている可能性は現実として存在します。

「怖い」という感覚を否定する必要はありません。その感覚は、設計を慎重に行うための重要なシグナルです。

「怖い分だけ預金に置く」という設計が解決策

では、元本割れが怖いなら投資はすべきでないのか——そうではなく、答えは「怖い分だけ預金で持てばいい」ということです。

「投資を怖くなくする」のではなく、「怖くても困らない設計にする」という発想の転換が、両軸設計の本質的な答えです。

  • 投資する分は「なくなっても教育費に困らない範囲」に設定する
  • 必ず必要な分は預金で確保しておく
  • 結果として、投資が下振れしても「困らない」状況を作る

「全額預金は損かもしれない」「全額投資は怖い」という二択に悩む必要はありません。両方を持ちながら、それぞれの役割を明確にしておく——これが、教育資金という「締め切りのあるお金」に対する、現実的で継続しやすいアプローチです。

投資の怖さと向き合いたい方は、以下の記事も参考にしてください。

🔗 【結論あり】投資の暴落が怖い人がやるべきこと3つ|初心者向けに解説

まとめ:教育資金は「出口を設計できる支出」だから両軸が有効

この記事でお伝えしてきたことを整理します。

  • 教育費は「いつ・いくら必要か」がある程度予測できる、締め切りのある特殊な支出
  • 預金だけではインフレ局面での実質目減りリスク、投資だけでは暴落タイミング問題がある
  • 「預金(安全弁)×全世界株式インデックス(増やす資産)」の両軸を持つことで、どちらの相場にも対応できる出口の柔軟性が生まれる
  • 使う時期が近づいたら、投資分を段階的に現金化して安全側にシフトしていく
  • 出口ルールは事前に決めておくことで、感情的な判断を防げる
  • 「元本割れが怖い分だけ預金に置く」——これが両軸設計の本質的な答え

繰り返しになりますが、投資には元本割れリスクがあります。この記事の内容は特定の金融商品・サービスを推奨するものではなく、投資の判断はご自身の責任で行ってください。具体的な設計については、ファイナンシャルプランナーなどの専門家への相談も有効な選択肢です。

「何から始めればいいかわからない」という方は、まず新NISAの基本を押さえることをおすすめします。

🔗 新NISAの最適戦略|30〜40代会社員がやるべき投資の考え方

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この記事を書いた人

Takai|40代・会社員(IT系)

投資歴8年。つみたてNISA中心のインデックス投資と個別の高配当株で、夫婦の世帯資産7,000万円を運用(2026年6月時点)。住宅ローンと2人の子育てを抱える会社員として、「家族を守るための資産形成」を実体験ベースで発信しています。FP等の資格は持たない一個人投資家として、自分が実際にやったこと・調べたことだけを書いています。

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